システム薬学研究機構の目的

国民の健康と福祉の向上、すなわち医療サービスの向上は、現在、医療に携わる人々にとって緊要の課題となっています。私たちは、国民への医療サービスの向上は医師、薬剤師、看護師、検査技師をはじめとし医療に携わる全ての人々によるチーム医療によってはじめて達成されるものと考えています。また、現在の医療サービスにおける治療薬や診断薬など医薬品の重要性にかんがみ、製薬企業の研究者、開発者、医薬情報担当者もまたチーム医療に深く関わっていく必要があると考えています。
このような課題を解決するために、私たちは、薬学もしくは薬に関する情報などの統合化を行い、それら統合化された情報基盤を創薬、薬の機能改善及び医療(薬物療法)における適正使用・副作用の防止に有効に活用し、もって国民の生活の安定、健康増進を図ることを内容とするシステム薬学を新たに構築することが大事と考えます。そのために、3つの活動軸を設けます。まず、教育軸として、時代の変化に即応した薬剤師の育成をはじめとする新たな薬学教育の構築を支援するために国内外からの最新情報を継続的に提供していきます。また研究軸として、創薬に関わる大学、研究機関および製薬企業における研究者の研究を支援するため、医薬品等の有効性増強・安全性向上を目的とした新たな研究情報基盤を構築し、提供していきます。これら教育軸および研究軸の推進を図るためには、現在においては特に、国民的な理解と国民からの支援が必須の要件となっています。そのため私たちは第三番目の軸として社会的広報活動(Public Outreach)軸を設け、医療サービス向上のためのチーム医療の重要性、および先進的な薬学教育、創薬研究の重要性を広く国民(一般市民、自然科学分野の研究者、技術者、学生、および医療関係従事者)に理解して頂くための教育、普及、啓発等の活動を行っていきます。
私たちは以上の活動を行うために、特定非営利活動法人システム薬学研究機構を薬学の教育及び研究の両面で先進的な位置にある東京理科大学内に設立します。産学が連携し、最新の薬学、生物学、医学研究の進展を踏まえたシステム薬学に基づき、先に述べた3つの軸を実践していき、もって国民の医療と福祉の向上に資することを目的としています。